※本来であれば、労働者のみが加入できる労災保険に一定の要件を満たせば経営者も
加入するこ とができます。
〈こんな方が対象です〉
○ 現場の仕事にも出るので、仕事中の事故が心配だと思われている経営者様
○ 労災が使えないことを知り、業務災害に対応できる保険を探している経営者様
○ 役員が業務中に怪我をしたが、労災適用にならないと分かった経営者様
○ 元請企業、親会社、取引先、入札先から労災加入(特別加入)することを要請されている
経営者様
○ 業務上の怪我をし、健康保険を使用したが、後日、健康保険が使えないとい言われ、
全額自己負担となった経営者様
〈中小事業主等特別加入とは〉
労災保険とは
労災保険は、労働者が仕事中や通勤途中で負傷したり、病気に見舞われたり、死亡した場合に被災労働者や遺族を保護するため必要な保険給付を行うものです。
労災事故が起きたとき、労災保険に未加入だったら?
事業主が故意又は重大な過失により加入を怠っていた状態で労災事故が起きたら、
■ 国は、被災労働者に対して労災保険給付を行います。
■ 国は、当該事業主に対して給付に要した費用の全部又は一部を徴収します。
■ 更に、未手続き期間中の保険料を2年遡及して徴収し、保険料の10%の追徴金を徴収します。
特別加入とは
労災保険は労働者のための、国の強制保険です。従って、通常は社長や役員の方は加入すること
が出来ません。しかし、その業務の実情、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護
することが適当と認められる一定の方に対しては特別に任意加入することが出来ます。
これを特別加入といいます。
〈特別加入の要件とは〉
(A)中小事業主の定義
特別加入できるのは、業種別に定められた次表の労働者数を雇用する場合です。
業種 |
労働者数 |
金融業、保険業、不動産業、小売業 |
50人以下 |
卸売業、サービス業 |
100人以下 |
その他 |
300人以下 |
(B)中小事業主の範囲
@ 労働者を年間を通じて一人以上使用していること
(労働者を使用し、その使用日数の合計が100日以上となることが見込まれる場合も含む。)
A 法人の代表者(理事長)、その家族従業者、及び業務執行権がある役員(理事)、個人事業主
(C)労働保険(労災・雇用)の事務処理を労働保険事務組合に委託していること
当事務所では、約4000社の委託を受ける事務組合団体である「中小企業福祉事業団」への加
入取りまとめを行っております。
〈特別加入のメリット〉
@ 社長(理事長)、役員(理事)、家族従業者、個人事業主が特別加入できます。
A 原則として、医療費の自己負担額は0円です。
B 国営の制度なので安価で充実した補償が受けられます。
C 保険料は自由設定(給付基礎日額を選択)
D 面倒な会社の労働保険事務処理をしなくて良いので負担が軽減されます。
E 働けない間の所得補償給付があります。
F 通常、概算保険料が40万円以上でないと分割できませんが、保険料額に関わらず
3回分割できます。
〈保険料と経費負担〉
特別加入の保険料は、1日当たりの所得水準(給付基礎日額)に相当する額を基に業種別の労災保険料率を乗じて計算します。
特別加入保険料 = 保険料算定基礎額(給付基礎日額) × 労災保険率
(例) 月給(役員報酬)300,000円の方の場合(不動産業のとき)
給付基礎日額10,000円(30分の1)
保険料算定基礎額3,650,000万円(給付基礎日額 × 365日)
3,650,000 × 1,000分の3 = 10,950円(年間)
*一日あたり30円ということになります。
○ 会社が支払う保険料は、(特別加入保険料 + 従業員の労災保険料)となります。
経費負担については、次の2つがあります。
@ 本人の労災保険料
A 会社の事務組合委託費用
〈労働保険事務組合への委託費用〉
中小事業主等の特別加入は法律により、会社の労働保険事務処理を労働保険事務組合に委託しなければならないことになっています。 *特別加入要件とは(C)参照
@ 入会金30,000円(消費税別)
A 事業団費(消費税別)
委託人数 |
1か月 |
5 |
7500 |
10 |
10000 |
20 |
12500 |
30 |
15000 |
40 |
17500 |
50 |
20000 |
※ 委託人数は、中小事業主と従業員数の合計です。
※ 建設事業は、50%増しとなります。
〈保険給付〉
給付の対象となる例
@ 特別加入申請書に記載した「労働者の所定労働時間」に特別加入申請した事業の為にする行為
及びこれに付帯する行為を行う場合(事業主の立場で行う業務を除く)
A 労働者の時間外、休日労働に応じて就業する場合
B @Aに接続して行う準備や後始末等の業務
C @ABの就業時間中に事業場施設の利用中、施設内で行動中の場合
D 事業の運営に直接必要な業務(事業主の立場で行う業務を除く)の為に出張する場合 など
給付の対象とならない例
@ 事業主の立場で行う業務
* 法人等の執行機関として出席する株主総会、役員会
* 事業主団体等の役員、構成員として出席する事業主団体の会議
* 資金繰り等を目的とする宴会、親会社等のゴルフ接待等に出席する行為
A 労働者の就業時間終了後に休憩、夕食をとり改めて準備、後始末行為を行う場合 など
〈健康保険の落とし穴と特例について〉
● 社長と役員の業務上の傷病については社会保険(健康保険)の対象外ですので、
全額自己負担です。
● 健康保険は、業務外の傷病が対象です。一方、法人の役員等には原則労災給付は行われません。
つまり、業務上傷病についてはどちらの保険も使えず、全て自己負担となります。
しかし、小規模な会社の役員等は、労働者と同様に働いている実態があることから、業務上の災害に
ついても健康保険から給付(傷病手当金を除く)が行われる特例が設けれれています。
〈特例の対象とは〉
@ 被保険者が5人未満である適用事業所の法人の役員等であること
A 一般の労働者と著しく異ならないような労務に従事していること
但し、法人の役員等のうち、労災保険の特別加入をしている者と兼務役員等の労働者性が認められる者であり、業務上の傷病に関し労災保険の給付が受けられる者に対しては健康保険の給付は行われません。